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SAIZENSEN HIPHOP コラム

SAIZENSEN HIPHOP LiLy's Column

第四十四話
マリファナ
A「なんかね、元カレから夜中に電話かかってきて、何かと思ったら泣いてたの」
L「どして? 大丈夫だった? 」
A「夢みて、うなされたんだって。パニックになって起きちゃったって……。彼、数年前に一度、マリファナで逮捕されてるのね。でも、それでもやめられないんだって。やめようと思って色々試したみたいなんだけど、すっかり精神的に依存しちゃってるみたいで……。だから、捕まる夢をみるんだって言って泣いてた。逮捕されるシーンを、何十パターンも見るんだって」
L「……あぁ、なんか、辛いねぇ、それ」
A「すごい可哀そうだよ。もちろん自業自得なんだけど、それは彼が一番よく分かってるんだ。逮捕された当時、彼は私と付き合ってたんだけど、親の名前が新聞に載っちゃったし、彼も仕事クビになったし、すごく大変だった。結局、その後もやめられないことに私が腹を立てて、彼は私も失った……」
L「その別れは、彼も、Aも、すっごく辛かっただろうね…」
A「ものすごく、悲しかったよ。嫌いになったわけじゃないもん。今も、好きだよ。でも私は、いつ捕まるか分からない男と結婚なんてできない。そんな自分も、嫌になったよ。彼は私を必要としているのに、私だって彼のことが好きなのに、心を鬼にして別れたの」
L「……うん。彼もすごくすごく辛かっただろうけど、私にはAの辛さの方がリアルに分かるかもしれない。」
A「ありがと……。なんだろうね、可哀そうな状態の彼を、支えてあげたかった。一緒に中毒と闘って、マリファナから解放してあげたかった。でも、私はやっぱり自分の未来の方が大事だったのかもしれない……。うちの親に、嘘をつけなかった。だから結婚できなかった。いつ捕まるか分からない人の子供を、私は生めなかった。だからやっぱり、結婚できなかった。」
L「うん。でもさぁ、彼を今でも支えているんじゃないかな、Aは。だって男の人が夜中に
泣きながら電話をかけるって、自分の味方だと思っている女しかいないと思うもの。彼、やめられるよ、絶対に、いつか……」
A「彼も、昨日そう言ってた。やめられると思えるようになってきたって。でも、完全にやめられるのが先が、捕まるのが先か……。それが怖くてたまらないって。その恐怖を感じるとすごく、吸いたくなってしまうって……。」
L「そっか。マリファナに中毒性がないっていう人もいるけれど、絶対にあるんだよね。私も、タバコ、やめたいのにやめられないからちょっと分かるよ、彼の気持ち。体ってよりも、心が依存してるんだよね。だから、やめたいと思うことで不安になると、吸いたくなる……」
A「私さ、いつも思ってた。彼がマリファナに依存しちゃう前に出会いたかったって。その頃だったら私、やめさせる自信あったもの。若いころに、軽い気持ちでなにげなく始めたものが、今、彼の人生をおかしくしている。悔しいよ……」
L「本当、悔しいね。草が麻薬じゃなって言う人もいるけど、私もフロリダに留学していた時に、ポットヘッド(マリファナ常習者)になって高校を中退していった子たちをたくさん見てきた。だから、私は絶対反対派なの。私、音楽にも男にもタバコにも、めっちゃ依存して生きてる弱い人間だからさ、草に依存してしまう気持ちが分かるんだよ。だからこそ、私は絶対に手をださない」
A「あれなんだよね。ただの葉っぱなんだ、違法なのがおかしいって言う人も多いけど、ただの葉っぱだからこそ、そのリスクがでかすぎる。だって、違法は違法。意義があるなら政治家になって法律、変えるのが先よ……」
SAIZENSEN HIPHOP LiLy's Column
プロフィール: LiLy
コラムニスト、作家。著書に『タバコ片手におとこのはなし』(講談社)、『11センチのピンヒール』(小学館)など。2005年J-WAVEナビゲーターオーディションで優勝し、ラジオ番組『SOULTRAIN』に出演していた。現在も、クラブイベントやファッションショーのMCとしても活躍中。
http://www.lilylilylily.com

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幻冬舎
LiLyの夢を追った日々を赤裸々に綴ったノンフィクション。大学受験を控えた18歳の夏から、ラジオDJを目指して上京した20歳の冬、ライターをはじめた21歳の夏、J-WAVE『SOULTRAIN』のレギュラーが決まった23歳の春、1冊目の本を出版した25歳の冬、7冊目の著書として本作を書き上げた現在、26歳の秋まで。波乱続きだった前半から、夢がカタチになり始める後半へ。夢をかなえるヒントが盛りだくさん。ドリーマー必読書!!
FLAIR
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